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・相談件数の概況
PAPSへアダルトビデオやその他性に関わって生活が脅かされたと感じる人々からの相談累積数は2018年7月をもって500件を超しました。
2012年ごろから、PAPSではAVに出演したことにより性的尊厳の侵害や様々な社会的不利益を被っている人々に対して相談窓口を開設しました。
当初は年に1件かそこらの相談だったのですが、2014年を境に相談件数が伸びてきました。その状況は以下のとおりです。
2012年 1件
2013年 1件
2014年 29件
2015年 82件
2016年 155件
2017年 161件
2018年 75件 (※1月~7月)
・相談件数が増えた背景
1 2015年に初めて、“AV出演強要”というネーミングで大々的にマスコミ報道されました。それまでは、出演する女性の同意のもとに行われている撮影だし、ギャラも支払われていることだから、性被害など無ないとされていました。PAPSをはじめとする民間団体によって“同意”や“ギャラ”の裏にはとんでもない騙しや脅しがあることが事実を持って初めて暴かれました。
ちなみに、メディアによる報道がある度に若干のタイムラグがあるのですが、相談の波が大きくなります。逆に言えば、メディアの報道がしばらくないと相談件数も減少する傾向にあります。
2 2015年4月から2017年8月まではNPO法人人身取引サポートセンター・ライトハウスと提携し、PAPS&LH協働相談支援事業を行っていた期間です。この期間は、相談窓口(入口)が二つあって、相談に入ってみると相談対応は一緒とという形をとっていました。
従って2015年から2017年には2団体が連携することによって相談件数が大幅に増えました。1団体当たり、1カ月当たりの相談件数でみると平均月8件で、2014年の月平均2件強の相談から比べると現在は5倍以上相談件数が伸びました。
3 2017年9月以降は、PAPSとライトハウスはそれぞれ独立して独自の相談窓口にしました。PAPSへの相談件数はその当初は若干下がりましたが、現在では、月10件強の相談があり、2018年度だけで100件以上の相談が寄せられるでしょう。
現在では、AV被害を中心にして相談を受けている2団体があるのですが、相談を寄せてくる方たちは、それぞれのホームページなどを見比べて、双方に相談をしたり、PAPSの特性を理解して相談したり、使い分けをしているようです。
・相談内容の概況
相談を寄せてくる内容の70%ほどは何らかの形でAVに係ることによって人生に甚大な被害を被っており、被害回復を求めてきます。その多くは、現在流布されている動画や画像の削除です。出演した時には、“同意”したかに見えるのですが、実際に販売された後の自分の人生に及ぼす影響は全く想定外の事態が展開し、驚愕して相談に飛び込んできます。
AV被害のみならずこの頃では性風俗に係った方たちからの相談も増えています。労働条件や客からの被害に店が対応してくれないなど多様な相談があります。
また、AVは一定の産業のもとに生産されている性商品ですが、技術の発展により事業体の形を取らなくても個人で参入することが簡単にできるようになり、個人による加害の訴えも増えてきています。
子どもたちにとっては、SNSのツールは日常的で、このことにより思わぬトラブルに巻き込まれた本人、親、学校からの相談も増加の傾向にあります。
巷で性を売って生き延びている少女からの相談も来ています。
相談内容はますます多様になっていて私たち自身の力量が日々試されています。
・変化したこと
多様な相談内容ですが、変化してきたこともあります。
ごく初期の頃の初回アクセスの相談メールは、自分を責める文言や言い訳であふれていました。“契約したのは自分だから自分が悪い”、“断らなかった(逃げ出さなかった)自分が悪い”“自業自得”、“自己責任”、“お金をもらっているので訴える筋合いではないけれども・・”などなど。
この頃では、単刀直入に困っていることを訴えてくるメールや電話が増えてきました。自分が悪いと責める呪縛から逃れられない方たちもいまだにいますけれども。 私たちの方もノウハウを蓄積しましたので、対応できる幅がずいぶん広がりました。
また、AV業界団体は、ほんの少しずつではありますが、対策に乗り出してきています。私たちは、AV業界団体も販売停止を行う社会資源の一つと捉え、できる限り相談にこられた方たちの要望に応える努力をしています。
・変化しないこと
相談内用や相談する意識に変化は見られますが、変化しない面もあります。AV業者の多様性とAVを嗜好している一定の消費者層の存在です。この消費者層が流通を含むAVの巨大産業を支えており、この問題にはまだ手が付けられていません。
また、いまだに、もう出演は嫌!と訴えるとバラシ代を請求されたり、そもそも出演拒否を認めない業者がいます。
同じプロダクションから複数人の相談を受けています。このような場合、警視庁等と連携しながら、事件化の途を模索します。ただ、事件化の途は非常に厳しく、当事者に多大な負担をかけるためになかなか実現しないのも現実です。
酷暑のみぎり、ご自愛ください。
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